金時草を茎まで味わう!初心者でも簡単、彩り豊かな栄養満点おひたし
在来種野菜の豊かな魅力に触れる「和野菜の食卓」へようこそ。今回は、葉の裏が鮮やかな紫色に染まる美しい在来種野菜、「金時草(きんときそう)」に焦点を当てます。金時草は、独特のぬめりともっちりとした食感が特徴で、石川県金沢市を中心に古くから親しまれてきた伝統野菜です。
この金時草の魅力を最大限に引き出しながら、料理初心者の方でも手軽に作れる、無駄なく使い切るレシピをご紹介します。環境への配慮も忘れず、栄養価についても深く掘り下げてまいります。
金時草と彩り野菜の梅おかか和え
金時草の鮮やかな色合いと、さっぱりとした梅の風味、そして香ばしいおかかの組み合わせが食欲をそそる一品です。葉だけでなく茎も活用することで、食品ロス削減にも貢献します。
コンセプト
金時草の葉と茎をまるごと使い切り、環境に優しい簡単レシピです。梅とかつお節で風味豊かに仕上げ、在来種野菜の魅米と栄養を余すことなく楽しめます。
材料(2人分)
- 金時草 1束(約150g)
- 梅干し 2個(塩分8%程度のもの)
- かつお節 3g(小分けパック1袋分)
- 醤油 小さじ1
- みりん 小さじ1
- ごま油 小さじ1/2
- (お好みで)白いりごま 少々
調理時間・難易度
- 準備時間:5分
- 調理時間:5分
- 難易度:初級
調理手順
- 金時草の下準備:
- 金時草はたっぷりの水で丁寧に洗い、土や汚れを落とします。
- 葉と茎に分け、茎の特に太く硬い部分は切り落とします。細い茎はそのまま使用できます。
- 葉と茎を別々のバットや皿に置いておきます。
- 梅干しを叩く:
- 梅干しは種を取り除き、包丁で細かく叩いてペースト状にします。梅肉を丁寧に叩くことで、味が均一になじみやすくなります。
- 和え衣を作る:
- ボウルに叩いた梅肉、かつお節、醤油、みりん、ごま油を入れ、よく混ぜ合わせます。みりんは電子レンジで20秒ほど加熱してアルコール分を飛ばすと、よりまろやかな仕上がりになります。
- 金時草を茹でる:
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩(分量外、水1Lに対し小さじ1程度)を加えます。
- まず金時草の茎の部分を入れ、1分ほど茹でます。茎は葉よりも火が通りにくいため、先に茹でることで均一な食感に仕上がります。
- 続いて葉の部分を加え、さらに30秒から1分ほど、鮮やかな緑色になり、ぬめりが出始めたらすぐに火を止めます。茹ですぎると金時草特有の食感と風味が損なわれるため注意が必要です。
- 水気を切る:
- 茹で上がった金時草はすぐに冷水に取り、色止めとぬめりを引き締めます。
- 冷水から引き上げたら、手でしっかりと水気を絞ります。この工程を丁寧に行うことで、水っぽくならず味が薄まることを防ぎます。
- 和える:
- 水気を絞った金時草を長さ3〜4cmに切り、和え衣の入ったボウルに加えます。
- 全体が均一に混ざるように優しく和えます。
- 器に盛り付け、お好みで白いりごまを振って完成です。
調理のコツとポイント
- 茹で加減: 金時草は茹ですぎると色が悪くなり、食感も損なわれます。鮮やかな緑色に変わったらすぐに冷水にとるのがポイントです。茎と葉で茹で時間を変えることで、それぞれの食感を活かすことができます。
- 水切り: 和え物にとって水切りは非常に重要です。しっかりと水気を絞ることで、味がぼやけず、美味しく仕上がります。
- 梅干しの種類: 塩分濃度や酸味の異なる梅干しを使うと、また違った味わいになります。お好みの梅干しで試してみてください。
在来種野菜「金時草」の深掘り
選び方と保存方法
金時草は、鮮度が命の葉物野菜です。
- 選び方:
- 葉の色が鮮やかで、裏側の紫色が濃く、茎に張りがあるものを選びましょう。
- 葉先までしおれておらず、全体的にみずみずしいものが新鮮な証拠です。
- 保存方法:
- 乾燥に弱いため、湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
- 立てて保存すると、より鮮度が長持ちします。
- 保存期間の目安は3〜5日程度です。できるだけ早めに使い切ることをおすすめします。
食材の無駄をなくす工夫
金時草は、葉だけでなく茎も美味しくいただけます。
- 茎の活用法:
- 今回のレシピのように、細い茎は葉と一緒に茹でて和え物に活用できます。
- 少し太めの茎は、細かく刻んで味噌汁の具や炒め物、卵焼きの具材にするのも良いでしょう。シャキシャキとした食感がアクセントになります。
- ご飯に混ぜて炊き込みご飯の具にしたり、佃煮にしたりすることも可能です。
- 食品ロス削減への貢献:
- 通常捨てられがちな茎まで美味しくいただくことで、食材を無駄なく使い切ることができ、食品ロス削減に繋がります。これは、持続可能な食生活を送る上での大切な一歩です。
環境と健康への貢献
環境へのメリット
在来種である金時草を食卓に取り入れることは、環境保護にも繋がります。
- 生物多様性の保全: 在来種野菜は、その土地固有の気候や風土に適応し、長年受け継がれてきた品種です。これらを栽培し消費することは、画一化されがちな現代農業において、多様な遺伝資源と地域の生態系を守ることに貢献します。
- 地域の食文化の継承: 金時草のような在来種は、その地域の歴史や文化と深く結びついています。これらを食べることは、単に野菜を消費するだけでなく、地域の食文化や伝統を守り、次世代に継承していくことに繋がります。
- 地産地消の推進: 在来種野菜は、多くの場合、栽培地域で消費されることが多く、これは「地産地消」を促進します。食材の輸送距離が短くなることで、輸送にかかるエネルギー消費(フードマイレージ)が削減され、温室効果ガスの排出量減少にも貢献します。
栄養価と健康効果
金時草は、その鮮やかな色合いだけでなく、栄養面でも注目すべき野菜です。
- ポリフェノール(アントシアニン): 金時草の葉の裏が紫色をしているのは、ポリフェノールの一種であるアントシアニン色素によるものです。アントシアニンは強力な抗酸化作用を持ち、体の老化を防ぐ働きや、目の健康維持に役立つとされています。
- 食物繊維: 豊富な食物繊維を含んでおり、腸内環境を整え、便秘の改善に効果が期待できます。
- ミネラル: カルシウムや鉄分などのミネラルもバランス良く含まれており、骨や歯の健康維持、貧血予防に役立ちます。
- ぬめり成分(ムチン): 独特のぬめり成分は、ムチンなどの水溶性食物繊維によるもので、胃腸の粘膜保護や消化促進に良い影響を与えると言われています。
まとめ
今回は、在来種野菜「金時草」の魅力を余すことなく味わう、「金時草と彩り野菜の梅おかか和え」をご紹介しました。初心者でも簡単に作れるこのレシピは、金時草の葉から茎までを美味しく活用し、食材の無駄をなくす工夫が凝らされています。
金時草は、その鮮やかな色合いと独特の風味、そして豊かな栄養価で、私たちの食卓を豊かにしてくれます。さらに、在来種を食べることは、生物多様性の保全や地域の食文化の継承、地産地消による環境負荷の低減といった、持続可能な社会への貢献にも繋がります。
ぜひこの機会に、金時草を日常の食生活に取り入れ、美味しく、そして環境にも優しい食卓を体験してみてください。在来種野菜が持つ奥深い世界を、今後もご紹介してまいります。